この「きりかぶ」シリーズは、偕成社刊の完全リニューアル版として、小学館より再版された絵本です。
この「きりかぶ」の絵本を一番最初に思いついたのは、私が20代の頃でした。20代の頃に考えた構想をほぼそのまま絵本にしたのが偕成社刊の「きりかぶ」シリーズになります。
偕成社で刊行した頃は、私は30代前半でした。歳を重ね、40代になってあらためてこの作品を読み返してみると、何か物足りなさを感じるようになりました。ようやく50代を間近にして、その物足りなさに気がつきました。それは、「歳を重ねて、自由になれる喜び」「歳を重ねて、余裕がもてる喜び」です。歳を重ねると、老いにより、できない事も増えるけれど、その分、社会的な責任も減っていくので、気持ちのうえでは、楽になれることも多いのではないか・・・。そして、いろんな経験を積んでいるので、考え方に余裕が生まれるのではないかと気がつきました。歳を重ねることは、悲しいことではない、むしろ、いいこともたくさんある。もっと歳をとることに、前向きになってもいいのではないかと思い、このことを伝えたいと思ったのです。(さすがに、30代の時には、この感覚はわかりませんでした)
この絵本は3歳のお子さんから100歳のお年寄りまで、幅広い層に楽しんでもらえる内容となっています。どの年齢になっても、読み返して楽しんでもらえたら幸いです。